借地権付き建物を購入するメリット・デメリットは?初心者にも分かりやすく解説

借地権付き建物

マイホームを購入しようと思って物件を探している時、「借地権」と記載された相場より安い物件を見かけたことはないでしょうか。

安くていいなと思う反面、どうして安いのだろうと疑問に感じたと思います。

そこでこの記事では、借地権付き建物とは何かという基本的なことから、購入するメリット・デメリット、地代の相場とその計算方法について詳しく解説します。

これを読めば、マイホームを購入するときに、価格だけに惑わされることなく、借地権付き建物を選ぶか、所有権が取得できる通常の物件を選ぶか冷静に判断できるようになるでしょう。

借地権付き建物とは?

借地権付き建物
借地権付き建物というのは、借地上に建てられた建物のことをいいます。

通常、不動産を購入するときには土地と建物を合わせて取得します。

このときに購入する土地と建物は所有権です。

それに対して借地権付き建物の場合、購入するのは建物と土地を使用する「権利」になります。

そのため借地権付き建物では土地を取得していないというところが、通常の不動産購入とは異なる点です。

また、借地権付き建物には一戸建ての場合もあれば、マンションの場合もあります。

ただし、借地権付きマンションの場合、更新のない定期借地権となっていることがほとんどです。

定期借地権の場合、契約期間が終わると更地にして明け渡す必要があります。

中古マンションを借地権付きで購入するときには、借地権が定期借地権かどうか、定期借地権であればどのくらい契約期間が残っているかを確認するようにしてください。

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借地権付き建物を購入するメリット・デメリット

借地権メリット・デメリット
まずは、借地権付き建物を購入するメリットについてです。

メリット

借地権付き建物を購入するメリットは以下の2つです。

・土地の所有権を取得している建物を購入するよりも価格が安い
・土地に対する不動産取得税・固定資産税・都市計画税が不要

(1)価格が安い

建物の敷地が借地の場合、所有権を取得している土地に比べて利用の制限が多いです。

建物が古くなったからといって建替えなどの増改築をするにも、地主の承諾と一定の承諾料が必要です。

また、家を使わなくなったから売却したいと思ったときも、地主の承諾と承諾料が必要になります。

このように借地権付きの建物は、その借地上の建物を含めて自由に変更することができないデメリットもあるので、土地の所有権を取得している建物の価格よりも安く設定されることが多いです。

建物の状態や立地にもよりますが、所有権を取得する場合の60~80%の価格が相場になっています。

そのため、初期費用を大きく下げることができ、所有権であれば購入が難しい立地でマイホームを建てたり、浮いたお金で家の設備をグレードアップするのに使ったりできる魅力があります。

ただし、借地権付き建物の購入費用は安かったとしても、取得時の権利金、取得後にかかる更新料や承諾料を合計すると所有権の土地と建物を購入する場合と変わらないような価格で売り出されていることもあるので注意が必要です。

購入価格だけでなく、総合的にかかる費用も含めて本当に借地権付き建物の方が金額を抑えられるかよく調べるようにしましょう。

後ほどお伝えするデメリットについても十分に理解していなければ、後悔することもあるので気をつけてください。

(2)税金がかからない

土地を購入して所有権を取得した場合、その時点で不動産取得税が課税されます。

さらに毎年の税金として固定資産税、建物が都市計画区域に建てられている場合は都市計画税も課税されることになります。

しかし、借地権付き建物であればその敷地は借地、つまり土地を取得していることにはならないので、土地の部分に対する不動産取得税はかかりません

また、固定資産税や都市計画税も土地の部分については課税されません

つまり、借地権付き建物を購入した場合にかかる税金は、建物部分に対する不動産取得税と固定資産税、都市計画税のみということです。

土地の部分にかかる税金は地主が納めることになります。

ただ地代には、土地にかかる固定資産税・都市計画税分の金額は含まれているので、厳密に言えば、借地権付き建物でも土地にかかる税金を借主が支払っていると言えるかもしれません。

それでも、毎月支払う地代は一定なので、納税時期だけ地代が増えるということはなく、支出の計画を立てやすいという点はメリットです。

デメリット

借地権付き建物を購入するデメリットは以下の4つです。

・購入時、金融機関からの融資を受けにくい
・地代がかかる
・増改築するときには地主の承諾が必要な場合がある
・建物を第三者に売却するときには地主の承諾が必要

(1)融資を受けにくい

通常、不動産を購入するときは土地と建物を担保に住宅ローンを組みます

しかし、借地権付き建物の場合、借地への抵当権設定を地主が承諾することはほとんどありません。

そのため、抵当権を設定することになるのは建物のみとなり、担保価値が小さくなります。

借地上の建物に抵当権を設定すると、その効力は借地権にも及ぶというのが一般的な解釈ですが、それでも担保価値は小さいため融資可能額も低くなることが多いです。

また、法律上は地主の承諾なく建物を担保に抵当権を設定することは契約違反となりません。

ですが、融資の審査のときにほとんどの銀行から地主の承諾書をもらうように言われます。

なぜなら、借地人による地代の未払いなどがあると借地契約解除の正当事由となり、地主は借地人に対して更地にして土地を返却するように求められる場合があるからです。

そのような場合、借地人は拒否できません。そして、借地上の建物に抵当権を設定していたとしても金融機関は明け渡しに応じるしかなく、建物がなくなるので担保としての価値がゼロになり、資金回収ができなくなります。

そのため、ローン承諾のときに、「借地契約を解除するときには、解除前に抵当権者(金融機関)に通知する」という条件を加えることが多いです。

このように借地権付き建物は融資を受けられる条件が厳しく、受けられたとしても通常の住宅ローンより少なかったり、金利が高かったりするというデメリットがあります。

借地権付き建物の購入時に融資を受けられるかどうか、受けられるとしてそのときの条件はどうなるのか、購入前に確認するようにしてください。

(2)地代がかかる

借地権付き建物の場合、購入後、地主に毎月地代を支払う必要があります。

もちろん借地借家法に基づく普通借地権の存続期間である30年間地代を支払い続けたとしても、土地の所有権を取得するときに必要な金額に比べ、安くなることがほとんどです。

それでも、毎月の地代に抵抗を感じる方もいますので、その点が借地権付き建物を購入するデメリットと言えるでしょう。

(3)増改築時に地主の承諾が必要な場合がある

借地契約に増改築禁止の特約がある場合、増改築するには地主の承諾が必要です。

もし、許可なく増改築にあたるリフォームやリノベーションをしたときには借地契約を解除される可能性もあるので気をつけてください。

また、平成4年8月1日以降に結んだ新法借地権の場合、増改築を禁止する特約がなかったとしても、自由に増改築できるのは借地権の最初の存続期間のみです。

借地契約更新後の増改築は地主の承諾が必要になります。
ただし、平成4年7月31日以前に結んだ旧法借地権であれば、借地契約更新後も増改築禁止の特約がない限り自由に増改築できます。

購入後、状況の変化や建物劣化などで増改築が必要になることがあると思います。

そのときになって慌てなくていいようにしっかりと契約内容を確認しておきましょう。

(4)建物を第三者に売却するときには地主の承諾が必要

建物を売却するときには、借地権もセットで売却することになります。

そして、借地権を第三者に売却するときには必ず、地主の承諾と一定の承諾料が必要です。

借地権付き建物について売買契約を結ぶときには、地主の譲渡承諾書といった書面の提出が求められ、承諾を得られない場合には売買契約も成立しません。

万が一、地主の承諾なく借地権付き建物を売却した場合には、契約違反となり借地契約解除の対象となります。

そうなれば、たとえ借地権付き建物の買主が知らなかったとしても地主から土地の明け渡しを求められると従わなければなりません。

買主から損害賠償請求を受けるなどの問題にまで発展するので絶対に、無断で売却しないようにしてください。

また借地権の譲渡を地主から認められないときには、裁判所から地主の承諾に代わる許可を得ることができます。

このような場合、必要な手続きをすべて個人で進めるのは難しいので、借地権に詳しい不動産会社に相談するようにしましょう。

借地料(地代)の相場と計算方法

借地料 計算
借地権付き建物を購入した場合、毎月地代がかかるとお伝えしました。地代は借地料とも呼ばれます。

そして、その土地の立地や利用状況によっても異なるため、借地料には明確な基準はありません。

ただ一般的には、住宅地であれば固定資産税と都市計画税の合計額の2~3倍が相場と言われています。

たとえば、固定資産税と都市計画税の合計額が20万円だった場合、年間の借地料は40万~60万円です。そのため、毎月地主に支払う借地料の相場は3.5万~5万円ということになります。

4つの借地料(地代)の計算方法

借地料を計算するときに用いられる方法は、主に4種類あります。

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(1)積算法

積算法はその土地を貸したときに土地貸主が得たい利回りから逆算して計算する方法です。計算式は次のようになります。

【借地料 = 更地価格 × 期待利回り + 必要経費】

期待利回りの算出は収益還元法という評価方法に基づいて出しますが、計算方法が複雑で専門的な知識が必要となるため、概算で2%程度として借地料を求めることが多いです。

また必要経費は、固定資産税と都市計画税の合計額と考えて問題ありません。

(2)公租公課倍率法

固定資産税と都市計画税など、その土地を所有していることでかかる税金を基準に一定の倍率を掛けて計算します。

一般的には2~3倍で計算します。

それぞれの税率は、固定資産税が固定資産税評価額の1.4%、都市計画税が固定資産税評価額の最大0.3%で合計1.7%です。

それの3倍とすると、年間に納める地代は固定資産税評価額の5.1%となります。

(3)収益分析法

収益分析法は借地上に建てられた建物が住居としてではなく、事業のために使われる場合に用いられる計算方法です。

賃借人が行う事業において、その土地が事業の利益にどれくらい貢献したかを基準に計算します。

ただし、利益を想定し、その中でもさらに土地の貢献度を求めるというのは一個人が行うにはほとんど不可能です。

そのため、収益分析法で計算するときには専門家へ依頼されています。

(4)賃貸事例比較法

賃貸事例比較法では、その土地の周辺地域で立地条件などが近い複数の賃貸事例から土地の形状、環境などの要素を比較して借地料を計算します。

しかし実際には、借地料の金額の情報が手に入ることは難しく、条件に合う賃貸事例そのものも少ない場合があることからあまり使われる計算方法ではありません。

借地権付き建物を事業目的で購入した場合の「減価償却」について

減価償却
借地権付き建物を店舗経営や賃貸経営などの事業目的で購入した場合、減価償却に注意点があります。

建物と同時に土地の所有権を取得する一般的な不動産購入であれば、購入金額から土地部分の価格を除いた建物部分の価格に対して減価償却していきます。

これに対して、借地権付き建物の場合、借地権の取得は土地の購入ではないので、購入価格すべてを減価償却できると考えられる方も多いです。しかし、そうではありません。

借地権付き建物の場合は借地権の取得のためにかかった費用を除いた金額を建物部分の価格として、その金額を基準に減価償却することになります。

借地権取得のためにかかる費用は、以下のようなものです。

・地主に支払った借地権の権利金(借地権の設定の対価)
・名義書換料(譲渡承諾料)
・増改築の承諾料
・整地費用

このように借地権付き建物の購入代金すべてを減価償却できるわけではないので気をつけてください

どの費用が借地権取得のためにかかった費用にあたるかわからないときは不動産に詳しい税理士などの専門家へ相談するようにしましょう。

まとめ

以上、借地権付き建物を購入するメリット・デメリット、地代の相場と計算方法、そして、事業目的で借地権付き建物を購入した場合の減価償却の対象部分について解説しました。

まとめると、以下のようになります。

  • メリットは、購入価格が安い・土地部分の税金がかからない
  • デメリットは、融資を受けにくい、地代がかかる、特約によっては増改築でも地主の承諾が必要・第三者への売却時は地主の承諾が必須
  • 借地料の相場は固定資産税と都市計画税の合計額の2~3倍

借地権はトラブルが発生することも多く、「借地権付き」の物件は購入時に避けられがちなのは事実です。

しかし、所有権を取得する形の不動産購入では手が出ないような人気の立地でも手頃な価格でマイホームを持てるというメリットもあります。

借地契約の契約期間は最低でも30年と非常に長い契約です。

だからこそ、メリットとデメリット、そして、自分自身の将来計画など総合的な視点から考えて決めることが大切です。

また、借地権付き建物を購入しようか迷われている場合は専門知識を持ったプロである不動産会社へ相談することをおすすめします。

最終更新日:

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