土地を貸すときの3つの賃貸方法を解説!地代(借地料)相場、賃貸相手別の注意点

土地 賃貸 相場

地代とは、土地を借りる側が貸す側に支払う賃料のことです。

地代の相場方法に法律上の決まりはありませんが、慣習として4つの計算方法があります。

どの計算方法が正しいというものでもありませんが、相場に対してあまりにも高額な地代を設定すれば「借りたい」という人は現れません。

土地の貸し出し方や、使用用途によって地代相場も異なります。より正確に地代相場を知りたい場合は、不動産鑑定士に相談して計算してもらいましょう。

また、地代の支払いや値上げ交渉など、借地人との間でトラブルが起こったときは「不動産問題に詳しい弁護士」へ相談しましょう。1人で考えるより、専門家の力を借りたほうが素早い解決が可能です。

地代(借地料)相場は土地の賃貸方法によって異なる

同じ土地を貸す場合でも、借り手がその土地をどのように使用するかによって地代相場は異なります。

賃貸の方法は、大きく分けて以下の3パターンです。

(1)建物を建てずに貸し出す場合
(2)建物を建てて貸し出す場合
(3)太陽光など定額の賃料収入を目的とする場合

①建物を建てずに貸し出す場合

建物を建てずに貸し出す場合、多くの借主は駐車場や資材置き場として利用することを目的としています。

この場合の借地契約は「一時使用の賃貸借」となり、借地借家法の借主保護に関する規定は適用されません。

建物を建てて土地を借りる場合と比べて、借主の賃借権は弱くなる分、地代相場も低くなります。

このとき、駐車場であれば都市圏で1平方メートルあたり月額400~500円が相場です。

なお、資材置き場は駐車場よりも低く、月額200~300円が相場となっています。

②建物を建てて貸し出す場合

建物を建てて貸し出す場合、借主はマイホームとしての居住用またはコンビニやスーパーといった店舗や事務所などの事業用として利用することが目的です。

そして、借主の利用目的が居住用・事業用かにかかわらず、借地契約には借地借家法が適用されます。

そのため、借地人は最低でも30年間は土地利用が保証されることになり、賃借権の権利も強くなる分、地代相場は建物を建てずに貸し出す場合に比べて高くなります。

地代相場は、居住用と事業用で計算方法も異なります。計算方法の種類については別項目で詳しく解説しますが、居住用であれば固定資産税や都市計画税をあわせた公租公課の2~3倍、事業用の場合は更地価格の4%程度とするのが一般的です。

例えば、評価額5000万円、400平方メートルの土地を貸し出した場合、住宅用であれば小規模宅地の特例が適用されて、固定資産税と都市計画税の合計は約25万円です。

そのため、居住用で貸し出した場合の年間地代は50万~75万円、事業用で貸し出した場合の年間地代は200万円です。

③太陽光など定額の賃料収入を目的とする場合

太陽光など定額の賃料収入を目的とする場合の借地契約では、借地借家法の適用はありません。

しかし、権利としては一時使用目的の賃借権よりも強いです。

このときの地代相場は1平方メートルあたり年間150円となっています。

例えば、500平方メートルほどの土地を太陽光発電のパネル置き場として貸し出す場合の地代は、年間7.5万円程度です。

地代相場の求め方は4種類

計算式
地代相場の求め方(とくに建物を建てて貸し出す場合)の計算式は4つあります。

(1)公租公課倍率法
(2)積算法
(3)賃貸事例比較法
(4)収益分析法

上記のなかから、土地を貸し出すときの利用目的や契約内容などによって、適切な方法を選択します。

(1)固定資産税と都市計画税をもとに算出する「公租公課倍率法」

公租公課倍率法は固定資産税と都市計画税の合計金額に一定の倍率を掛けて地代を算出する方法です。

公租公課の金額は地方自治体から届く固定資産税の納税通知書で確認できるので、専門的な知識は必要ありません。

計算しやすいという特徴もあって、地代相場を求めるときにはもっとも一般的に使われる計算方法です。

とくに、借地人の居住目的で土地貸しする場合に利用されます。このときの地代相場は公租公課の2~3倍です。

計算式は次のとおりです。

年間地代相場 = (固定資産税 + 都市計画税) × 2~3

ただし、固定資産税評価額は3年ごとに見直しが行われていたり、土地の利用目的や面積によって適用される特例が異なったりと複雑です。

また、都市計画税が課税されない地域では公租公課も低くなるので、必然的に地代相場が低く算出されることにも注意が必要です。

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(2)期待利回りと必要経費から算出する「積算法」

積算法は貸し出す土地の更地価格に期待利回りを掛けて、さらに必要経費を足して地代を算出する方法です。事業用に土地を貸し出す際、よく使われる計算方法です。

地代 = (更地価格 × 期待利回り) + 必要経費

この計算方法で求められる地代相場は「積算賃料」と呼ばれます。更地価格は近隣の条件が近い土地の取引事例を参考に算出した金額が使われます。

また、期待利回りは「賃貸借等に供する不動産を取得するために要した資本に相当する額に対して期待される純収益のその資本相当額に対する割合」と明確に定義されています。

つまり、期待利回りは「何年間で更地価格分の収益を得たいか」ということです。

例えば、20年で更地価格5,000万円の収益を得たいときには、年間地代は250万円必要です。これを利回りで考えると、250万円/5,000万円 = 5% となります。

つまり、【期待利回り(%/年) × 期待回収期間(年) = 100%】の関係にあります。

ただし、地代相場を計算するときの期待利回りは「収益還元法における還元利回りを求める方法に準ずる」と定められています。

そして、その利回りを正確に求めるには「不動産鑑定士」という専門家への依頼が必要になります。

大まかに地代相場を計算するときには、期待利回りを2%とすることが一般的です。

積算法で足す必要経費には、固定資産税や都市計画税の他に底地の管理費なども含まれます。

例えば、更地価格が5,000万円、年間の必要経費が100万円だったときの地代相場は(5,000万円 × 2% + 100万円) = 200万円/年となります。

(3)過去の事例をもとに算出する「賃貸事例比較法」

賃貸事例比較法はその名前のとおり、事例をもとに地代相場を計算する方法です。

そのためには、多数の事例を集めることが重要です。

そして、近隣地域で、借地契約が近い条件の事例を選び、その事例を基準に「土地の形状や面積・立地」「一時金の授受や契約期間」いった契約内容の違いなど様々な要素を比較して、地代を算出します。

賃貸事例比較法では適切な事例を選ぶため、多くの事例が必要になります。近隣地域で契約内容が近い土地貸しが活発に行われている場合に有効な計算方法です。

(4)事業の収益を基準に算出する「収益分析法」

収益分析法は、貸した土地が事業の収益にどれくらい貢献したかを基準に地代相場を計算する方法です。そのため、土地を事業目的で利用する借地人に貸す場合に使われます。

このときの計算式は、以下のようになります。

地代相場 = 年間の事業収益 × 事業収益に対する土地の貢献度 + 必要諸経費

しかし、事業収益に対する土地の貢献度を厳密に計算することは難しく、実際に収益分析法で計算されることはほとんどありません。

地代の値上げの方法やタイミング

ショッピングモール

地代は借地契約で定めた金額を支払うことが原則です。そうでなければ、契約の意味がありません。

しかし、借地契約は通常30年以上と長期間に渡るもので、土地を取り巻く状況も変わります。

そこで正当な理由がある場合には、地代を値上げすることが法律でも認められています。

そのタイミングは主に次の3つです。

(1)土地の価格が上がったとき
(2)固定資産税・都市計画税が上がったとき
(3)近隣の地代に比べて著しく低いことがわかったとき

ただし、地代は地主が思うままに上げられるわけではないことに注意してください。

もしも、地代を値上げするか検討している場合は、不動産に詳しい専門家に相談・依頼するとよいでしょう。

タイミング1:土地の価格が上がったとき

「近くに駅ができた」「幼稚園や小学校ができた」などの周辺環境の変化によって土地の価格が上がることがあります。

そうなれば、契約当時の地代は土地の価格に対して「安すぎる」ことになってしまいます。

例えば、評価額が3,000万円から4,000万円に上がったとします。

そして、契約当時に利回り2%で地代を設定していると年間地代は60万円です。

もしも、土地の価格が上がったのに年間地代がそのままとなれば、利回りは1.5%にまで下がってしまいます。

そのため、契約当時に設定した利回りとなるように地代の値上げ交渉を行えます。

タイミング2:固定資産税・都市計画税が上がったとき

固定資産税・都市計画税が上がったときも地代の値上げのタイミングです。これらの公租公課は、土地の評価額に税率を掛けて算出されます。

そのため、固定資産税・都市計画税が上がったときは「土地の評価額が上がったとき」または「固定資産税・都市計画税の税率が上がったとき」といいかえられます。

地主が土地を管理するための経費が増えることになるので、その分地代を上げられます。

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タイミング3:近隣の地代に比べて著しく低いことがわかったとき

これまでお伝えしてきたように地代は、居住用か事業用か、立地条件などによっても異なります。

そして「近隣の地代に比べて著しく低いことがわかったとき」も値上げ交渉をおこなえます。

そのため、土地の立地が近いというだけでなく、土地の立地や周辺環境、契約内容などの条件も近い地代を基準に比べることが必要です。

近隣が事業用で土地貸しをしていて、年間数百万円の地代を得ているからといって、居住用で貸している土地の地代に当てはめることはできません。

地代の値上げ交渉にも客観的な根拠が必要

地代を値上げできる3つのタイミングをお伝えしました。

ただし、これらのタイミングは「値上げできる可能性がある」であって「強制的に値上げできる」わけではありません。

借地人にも地代増額の同意を得る必要があります。このときに重要なのが客観的な根拠です。

固定資産税・都市計画税の値上がりは、納税通知書が届くので借地人にも理解してもらいやすいです。

しかし、地価の高騰や近隣と比べて地代が低すぎることが事実であったとしても、客観的な根拠がなければ借地人も納得しません。

そこで借地人への交渉材料として、土地の鑑定を不動産鑑定士に依頼することをおすすめします。不動産鑑定士は国家資格で「不動産鑑定評価書」の作成は法律で不動産鑑定士だけに認められています。

鑑定に費用はかかりますが、専門家による客観的な評価となるので、借地人との交渉でも納得してもらいやすいです。

土地を貸すときの注意点

土地を貸すということは、その間、土地の所有者であっても自由に使えなくなるということです。

賃料収入を得られるメリットはありますが、注意点もあります。

そこで、後々のトラブルとならないよう「土地を貸すときの注意点」を貸し出す相手別にお伝えします。

知人や親しい相手に土地を貸す場合

自分が所有している土地を「使っていないから」という理由で知人や親しい相手に貸す場合があるかもしれません。このとき、すでに知っている関係だからといって不動産会社を通さずに契約を交わすことは危険です。

契約内容に漏れがあると、契約が履行されないなど、人間関係が壊れてしまうリスクがあるからです。

たとえ親しい間柄であったとしても、不動産業者に仲介を依頼し、しっかりとした契約書を交わすことが大切です。

仲介手数料はかかりますが、適切な地代や契約内容の相談もできて安心できます。

企業に土地を貸す場合

企業に土地を貸す場合の注意点は、気づかないうちに不利な契約を結ばないようにすることです。

土地を借りることに慣れている法人も多く、慣れていない場合でも専門家からアドバイスをもらっています。

そのため、土地の賃貸借や借地権、法律などに詳しい知識がなければ、知らないうちに不利な契約を交わしてしまう可能性があります。

そのような事態を避けるには、自分で知識を身につけることもいいですが、信頼できる不動産会社や弁護士に適切な契約内容であるか確認してもらうようにしましょう。

居住目的の相手に貸す場合

居住目的の相手に貸す場合、定期借地権で借地契約を交わすことが大切です。

普通借地権で契約してしまうと、正当事由がなければ契約更新されてしまいます。

土地を取り戻すことが難しくなるので、いずれ土地を使う予定があれば、更新のない定期借地権を設定するようにしてください。

建物を建てずに利用する相手に貸す場合

駐車場や資材置き場など、建物を建てずに利用する目的の相手に土地を貸す場合、原則、契約で建物を建てられないようにすることが大切です。

貸した土地に建物が建てられていると、借地借家法が適用されてしまうかもしれないからです。

借地借家法が適用されると契約期間が最低30年となったり、正当事由がなければ契約更新を拒否できないなど、地主に不利な状態になってしまいます。

そのため、駐車場や資材置き場の利用で必要な建築物の設置を認めるかどうかは、不動産会社や弁護士と相談して判断するほうがよいでしょう。

地代収入における税金や確定申告

税金

最後に、地代収入の税金について解説します。

地代収入には所得税と住民税が課税され、賃貸借契約の内容によっては消費税も課税対象です。

地代収入にかかる税金は所得税と住民税

地代収入から固定資産税や都市計画税、その他必要経費を引いた所得は不動産所得です。

不動産所得は給与所得や雑所得など他の所得と合算して、所得税・住民税が課税されます。

このときの不動産所得には、地代収入の他に権利金や更新料なども該当します。

また、必要経費は地代収入を得るために直接必要な費用が認められています。具体的には、固定資産税や土地の管理費、損害保険料などです。

地代収入よりも必要経費が多く、不動産所得が赤字となった場合には、他の所得の金額と差引計算(損益通算)を行うことになっています。

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地代収入は原則、消費税の課税対象外

土地貸しすることで得られる地代収入は非課税取引といって、原則、消費税の課税対象とはなりません。

しかし、貸付期間が1カ月未満の短期の場合や駐車場、その他施設の利用に伴って土地が使用される場合は、消費税の課税対象となるので注意してください。

不動産所得が20万円を超える場合は確定申告が必要

もしも、会社員として給与所得を得ながら土地を貸して地代収入を得ている場合、不動産所得が20万円を超えていれば確定申告が必要になります。

また、損益通算を行う場合でも確定申告は必要です。確定申告の詳しい手続方法は国税庁のホームページで確認できます。

しかし、申告書の作成は慣れていなければ時間も手間もかかり、申告内容に誤りがあった場合は修正申告が必要です。

修正申告となれば手間が増えるだけでなく、延滞税がかかって納税額も増えます。

そのため、正確な確定申告を行うためにも、不動産に詳しい弁護士や税理士などの専門家に相談するようにしてください。

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まとめ

以上、土地貸しする場合の相場と求め方、注意点、地代の値上げタイミングと税金について解説してきました。

まとめ
・借地人の居住目的で土地を貸す場合の地代相場は、公租公課の2~3倍
・事業目的で土地を貸す場合の地代相場は、更地価格の4%程度
・地代相場の求め方は4つあり、公租公課倍率法が一般的
・地代の値上げのタイミングは、土地価格の上昇、公租公課の増額、近隣地代より低い時
・地代収入には所得税と住民税、場合により消費税が課税される

この記事で紹介した地代相場はあくまで目安です。

そのため、より厳密に適切な地代を求めたいときには、不動産鑑定士に依頼するようにしてください。

最終更新日:
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