相続放棄のメリット・デメリットをわかりやすく解説!検討すべきケースや注意点なども説明

相続放棄 メリット・デメリット

「相続財産がマイナスになりそう」「できれば相続に関わりたくない」などの理由から相続放棄を検討している人も少なくありません。

相続放棄をすることで被相続人の借金における返済義務を免れることができます。しかし、プラスの財産も含め全ての遺産を放棄しなければなりません。

このように相続放棄にはメリットとデメリットがあるため、慎重に判断しなければ取り返しのつかないことになってしまう可能性もあるでしょう。

この記事では、相続放棄のメリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。

また、相続放棄を検討した方がよいケースや注意点なども説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

相続放棄を検討した方がよいケース

ケース
ケースによっては相続放棄を検討した方がよいこともあります。そのケースが以下の通りです。

  • 被相続人が連帯保証人になっている場合
  • 被相続人が損害賠償や慰謝料を請求されている場合

それぞれのケースについて次の項目からわかりやすく解説します。

被相続人が連帯保証人になっている場合

被相続人が第三者の連帯保証人になっている場合、相続放棄を検討したほうが良いかもしれません。なぜなら、連帯保証人としての義務も相続の対象となるからです。

その第三者がしっかりと返済を続けてくれるのであれば何も心配することはないでしょう。

しかし、滞納や自己破産などをしてしまうとその債務は相続した人が負担しなければなりません。

相続発生時に被相続人が連帯保証人であることがわかったら、その第三者に残債額や現在の支払い能力などを話し合った上で、相続放棄するか慎重に判断することが大切です。

被相続人が損害賠償や慰謝料を請求されている場合

被相続人が損害賠償や慰謝料を請求されているケースでも相続放棄が望ましいことがあります。

例えば、不倫相手の配偶者から慰謝料を求められていたり、交通事故などによって被害者から損害賠償請求されているかもしれません。

このような状況で相続してしまうと、慰謝料や損害賠償の支払い義務は相続人が負担しなければなりません。

その結果、多額の慰謝料や損害賠償を支払わなければならず、遺産を相続したとしても採算が合わないという事態に陥ってしまう可能性もあります。

相続放棄における2つのメリット

メリット
相続放棄のメリットは主に2つあり、それが以下の通りです。

  1. 借金の相続を免れる
  2. 相続トラブルに巻き込まれない

次の項目からそれぞれのメリットをわかりやすく解説します。

①借金の返済義務を免れる

プラスの財産だけでなく借金や債務なども相続の対象です。まずはプラスの財産とマイナスの財産がそれぞれどのくらいあるのか調査しましょう。

ケースによっては相続財産が全体でマイナスになってしまうこともあります。このようなケースでは相続放棄することで、借金などの返済を免れることが可能です。

②相続トラブルに巻き込まれない

相続放棄することによって相続人ではなくなります。そのため、相続人間の争いや相続トラブルに巻き込まれないで済みます。

例えば「兄弟姉妹の仲が悪く、顔を合わせたくない」という場合もあるかもしれません。

また、少しでも多くの財産がほしいという気持ちから遺産の分け方がなかなか決まらず、話し合いが泥沼化してしまう可能性もあります。

もし遺産よりも相続トラブルを避けたいと考えているのであれば相続放棄するとよいでしょう。

相続放棄における3つのデメリット

デメリット
一方で、デメリットは3つあり、以下の通りです。

  1. すべての遺産を放棄しなければならない
  2. 撤回や取消しはできない
  3. 次順位の相続人に迷惑をかけてしまう恐れがある

それぞれのデメリットを具体例を踏まえながらわかりやすく解説していきます。

①すべての遺産を放棄しなければならない

相続放棄するとすべての遺産を放棄しなければなりません。そのため、マイナスの遺産だけ放棄して、プラスの遺産を相続するということは不可能です。

どうしても手放したくないプラスの財産があり借金もあるというケースでは「限定承認」という手段があります。

限定承認・・・マイナスの相続財産がある場合にプラスの財産で払える範囲のみ返済すればよいという制度です。

例えば、住んでいる不動産の資産価値が3,000万円で借金が5,000万円だとすると、返済義務は3,000万円でよいということになります。

つまり、残りの2,000万円は返済する必要がないということです。

②撤回や取消しはできない

相続放棄をすると原則として撤回や取り消しはできません。遺産の合計がマイナスになると思って相続放棄したあとに、高価な財産が見つかり結果的にプラスになるというケースもあります。

しかし、すでに相続放棄してしまっているため、相続することは不可能です。

このような事態を避けるためにも相続が発生したら念入りな財産調査をおこなうことが大切です。

また、相続が発生する(被相続人が亡くなる)前に財産と借金がどのくらいあるのかしっかりと確認しておくとよいでしょう。

③次順位の相続人に迷惑をかけてしまう恐れがある

相続放棄をおこなうと相続権が次順位の相続人に移動するケースがあります。

例えば、被相続人が母親であり、父親や祖父母もすでに亡くなっているとします。このような場合、子ども全員が相続放棄をすると第三順位の相続人である母の兄弟姉妹(叔父・叔母)に相続権が認められます。

もし叔父や叔母と疎遠になっていると相続放棄したことを伝え忘れてしまうことも考えられます。

相続放棄の期限を過ぎてしまうとマイナスの財産を叔父や叔母が相続することになってしまい迷惑をかけてしまう恐れもあります。

このようなトラブルを避けるためにも、相続放棄を検討しているのであればその旨を家族や親族と事前に話し合うことが大切です。

相続放棄の注意点

注意点
もし相続放棄をおこなうことになったとしたら、いくつか注意しなければならないことがあります。相続放棄の注意点は以下の通りです。

  • 期限は相続の発生を知った日から3カ月以内
  • 必ず家庭裁判所に申し立てる
  • 相続放棄ができなくなってしまうことがある

「相続放棄ができないまま多額の借金を背負うことになってしまった」とならないように気をつけなければいけません。次の項目からそれぞれの注意点について詳しく解説していきます。

期限は相続の開始を知った日から3カ月以内

相続放棄をおこなうためには原則「相続の開始を知った日から3カ月以内」に手続きを終える必要があります。この期間を「熟慮期間」と呼びます。

例えば、被相続人が4月1日に亡くなった(相続が開始した)として、相続人はその事実を4月10日に認知したとします。このケースにおける相続放棄の期限は4月10日の3カ月後である「7月10日」となります。

相続放棄をしないまま期限が過ぎてしまった場合、相続することを承認したとみなされ相続放棄できなくなってしまうため早めに手続きをおこなうことが大切です。

期限が過ぎてしまったときの対処法

前の項目では期限を過ぎてしまうと相続放棄が不可能になると説明しました。しかし、期限を過ぎてしまったとしても、家庭裁判所に申し立てることで期限の延長(伸長)を認めてもらえるケースもあります。

例えば、熟慮期間中に相続財産を調査したとしても、すべての財産を把握できず相続放棄の判断も難しいこともあるでしょう。このようなケースであれば熟慮期間の延長を認めてもらえる可能性があります。

ただし「仕事が忙しかった」「手続きを忘れていた」など個人の過失による理由では受理されないことが多いです。

もし熟慮期間を過ぎてしまうことが事前にわかったのであれば、早めに申し立てをおこないましょう。

必ず家庭裁判所に申し立てる

相続放棄は必ず家庭裁判所に申し立てて、所定の手続きをおこなわなければなりません。なぜなら、相続人の間で「自分は相続しない」と宣言するだけでは相続放棄にならないからです。

例えば、相続に関わりたくないからと口頭のみで相続しないと主張するとします。このとき相続財産の合計がマイナスになったため、他の相続人全員が相続放棄するかもしれません。

もし家庭裁判所で相続放棄を申し立てないまま期限が過ぎてしまうと、マイナスの財産を1人で相続してしまうことになってしまいます。

相続放棄ができなくなってしまうことがある

相続放棄をすると決定したのであれば、遺産の取り扱いに注意しましょう。なぜなら、遺産の取り扱いによっては相続を承認したとみなされるからです。

相続放棄の手続きが完了していたとしても取り下げられてしまう恐れもあります。相続を承認したとみなされてしまう行為は民法第921条で以下のように規定されています。

①相続財産の全部または一部を処分した
②相続財産の全部もしくは一部を隠匿して自分のために消費した

次の項目ではそれぞれの行為を具体例を用いながら解説するので、相続財産の取り扱いには気をつけましょう。

参照:電子政府の総合窓口e-Gov「民法第921条」

①相続財産の全部または一部を処分した

相続財産の一つに「築年数が古くボロボロになってしまった物件」が含まれていることも珍しくありません。

このようなボロボロになってしまった物件は倒壊の恐れがあり、近隣住民や政府から解体を要求されることもあるでしょう。

しかし、相続放棄をするのであれば解体をおこなってはいけません。なぜなら、解体が「遺産の処分行為」とみなされてしまい、相続放棄が認められなくなってしまうからです。

また「被相続人の借金を支払う」「遺産分割協議に参加する」などさまざまなケースで処分行為とみなされてしまう可能性があります。

②相続財産の全部もしくは一部を隠匿して自分のために消費した

被相続人の所持品を「形見・思い出の品」として相続人が所有・利用することもあるでしょう。このような「形見分け」では基本的に相続を承認したとみなされないといわれています。

ただし、形見として所有するのであればどんな遺産でもよいというわけではありません。ブランド品や高額な腕時計など一定の財産的価値があると判断された遺品については注意しなければなりません。

このような財産的価値のある遺産を形見として所有・利用すると「隠匿・消費行為」となり相続放棄が認められなくなってしまうケースがあります。

まとめ

相続放棄は被相続人の借金における返済義務から免れたり、相続トラブルに巻き込まれないなどのメリットがあります。

一方で、プラスの財産を含むすべての財産を放棄しなければなりません。また、後から高価な財産が見つかったとしても撤回・取消しは不可能なため、慎重に判断しましょう。

もし相続放棄をすることになったのであれば、相続の開始を知った日から3カ月以内に必ず家庭裁判所に申し立てる必要があります。

ただし、所定の手続きをおこなったとしても、遺産の取り扱いによっては相続を承認したとみなされてしまい、相続放棄が認められなくなってしまう可能性もあります。

相続放棄の判断や遺産の取り扱いなどに疑問や不安があるという人は相続問題に精通した弁護士に相談することが大切です。

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