アパートを売りたくないときに取るべき3つの対策をケース別に徹底解説!

アパート

家賃収入の減少や経営者の高齢化などで、アパート経営が困難になるケースがあります。しかし、先祖代々受け継がれてきた土地であったり、家賃収入に一縷の望みをかけていたりして売却に踏み切れず、何とか経営を持ち直したいとお悩みになっているオーナーも多いのではないでしょうか。

今回は、アパートを売りたくないときに採るべき3つの対策についてケース別に解説いたします。

なぜアパートを売りたくないのか理由を再確認してみよう

アパート
相続や離婚の財産分与、経営困難などが原因で「アパートを売りたくないけど売却せざるを得ない」と、売却を迫られている人も多いと思います。

しかし、なかには売却を回避できる問題もあります。そこで、まずはアパートを売りたくない理由を洗い出し、問題解決の糸口を探っていきましょう。

理由1.相続の対象になっている

まずは、相続すべき財産の中にアパートが含まれているというケース。アパートが相続財産の対象となっている場合、アパートを現金化して分配するよう迫られてしまうこともあります。これを「換価分割」といい、不動産相続時に選択される一般的な方法のひとつです。

もし、アパート相続に関して遺言書が残されていれば、遺言書通りに相続は進みます。しかし、遺言書がなくアパートの処分に困った場合には、相続人同士で遺産分割について話し合わなければいけません。原則として遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要です。だれか一人が「アパート売却処分したくない」と異を唱えれば、売却処分はできません。

ところが、いつまでも相続方法が決まらないと相続税の申告期限が到来し、場合によっては納税額が増えてしまう恐れもあるので注意が必要です。遺産分割協議自体には期限はありませんが、相続税の申告期限である「相続開始から10カ月以内」を目安に、アパートの処分方法を決めていきましょう

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理由2.離婚などの財産分与のため

続いて、離婚で家族構成が大きく変わるため、財産を処分しなければいけないケース。こちらも相続同様に、財産分与のために、財産の現金化を迫られることがあります。

しかし、財産分与の対象となるのは「共有財産」のみです。共有財産とは、婚姻してから夫婦で築いてきた財産のこと。夫婦の共同名義でローンを組んでいたり、名義は別でも結婚してからお互いの給与所得を出し合って購入したりした財産は、共有財産に含まれます。

そのため、婚姻以前にアパートを所有している、または相続でアパートを取得した場合は「特有財産」と見なされ、財産分与の対象にはなりません

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理由3.経営再生が見込めない

経営が悪化し収益が見込めない場合に、売却を迫られるケース。経営を続けたくても家賃収入が減少しており、経営再生が見込めなければ、アパートを売却するという選択肢を突きつけられてしまいます

しかし、アパートのような収益物件でも、売りたいときに簡単に売れるとは限りません。特に入居者がいる場合、追い出して更地にすることも難しいのです。

「入居率が高い」「土地に借地権が設定されている」という場合、状況によっては売却よりも経営を続けた方がいいケースもあります。上記に当てはまるときは、すぐに売却を考えず「経営を持ちなおすために専門家を頼る」または「転貸借する」など、経営を継続させるために何ができるかを考えていきましょう

相続したアパートを売りたくないときの対策

相続
では、上記で紹介した理由のうち「相続の対象になっているアパートを売りたくない」ときの対策にはどんなものがあるのか、解説していきます。

不動産という「分配しにくい財産」を他の相続人と分けるためには、換価分割という「不動産を現金に換えて支払う」方法があるとご説明してきました。換価分割とは、不動産を現金化し相続人と分配すること。アパートを売却し現金化することで、平等に不動産を分配できるようになります。しかし、相続財産の対象になっている場合でも、売却せずに遺産分割することは可能です。相続には換価分割以外にも「現物分割」「代償分割」「共有」という方法があり、いずれも法的に有効とされている分割方法になります。

では、アパートを売らずに相続するためには、これらの相続方法をどう適用させればいいのか、それぞれ解説していきます。

方法1.アパート以外の相続財産を他の相続人に譲る

まずひとつ目は、アパート以外の財産を他の相続人に譲るという方法一人がアパートを相続して、他の人には実家や貯金など、別々の遺産をそれぞれが「そのままの形」で相続することこれを「現物分割」と言います。

現物分割を選択すると、アパートを現金化することなくそのまま相続できるため、お金のやりとりは不要です。しかし、複数のアパートを保有していたり、他に相続する財産がなかったりする場合に、不公平感が生まれトラブルに発展しやすくなります。

また不動産は市場の変化によって、価値が変動することも少なくありません。相続後に価値が下がり「やっぱり相続するんじゃなかった」と後悔しないように、相続前に不動産査定やインスペクションを実施して、相続財産の価値を確認しておきましょう

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不動産査定とは

不動産査定とは、不動産の専門家が土地や建物の価値を算出する方法です。立地や築年数、周辺環境などから、不動産が持つ価値を割り出します。アパートのような収益物件の場合は一般的な査定とは違い、今後どのくらいの収益を生み出す可能性があるのかをチェックし、価値を算出していきます。アパートを査定にかけ、現状を把握すれば相続するか否かの判断がつきやすくなるでしょう。

インスペクションとは

インスペクションとは、住宅の欠陥や劣化部分を確認する「住宅診断」のこと。中古物件を取得する際に、建物の寿命や損傷部分を確認し、今後修繕費用がどのくらいかかるのかを調べます。インスペクションを実施すれば、物件取得後に多額の修繕費用が必要になった場合には、取得を断念することも視野に入れることも可能。今後の経営のことを考えても、相続対象であるアパートに劣化部分はどのくらいあるのか、きちんと確認しておいた方が安心です。

方法2.他の相続人からアパートを買う

もう一つの方法としては、自分がアパートを所有する代わりに、他の相続人に現金を渡し、所有権を取得する方法です。アパート以外に分割できる財産がない場合には、他の相続人にお金を渡して、所有権を買いとる形になります。これを「代償分割」と言います。

例えば、相続対象のアパートの価値が3,000万円で、相続人が3人いたと仮定します。相続する遺産は、一人頭1,000万円ずつになりますので、他の相続人に1,000万円ずつ支払います。これにより、公平性を保ちながらもアパートの所有権を取得することが可能です。

方法3.他の相続人と一緒にアパートを経営する

3つ目の方法は、他の相続人とアパートを一緒に所有する方法ひとつの財産を複数の人が所有する「共有」という相続方法です。家賃の分配や管理業務を相続人で共有し合うことになります。

しかし、収益物件を共有するとトラブルが起こりやすいため注意が必要です。アパート経営は時にリスクを伴うため、思うように家賃収入が得られなかったり管理方法に関して意見が食い違ったりすると、今よりも経営悪化してしまう恐れもあります。また、今後売却することになった場合、共有者の同意がなければスムーズに売却が進まないという事態も起こり得ます。そのため、できれば「現物分割」や「代償分割」で、相続することをおすすめします。

離婚するがアパートを財産分与したくないときの対策

離婚
離婚によりアパート売却を迫られているときの対策を紹介します。離婚すると、夫婦が互いに築いてきた財産を分配するのが、一般的です。これを「財産分与」と言い、不貞行為の有無にかかわらず多くの夫婦間で行われます。

相続と違う点は、相手の生活能力や不貞行為の有無によって、必ずしも平等に分配される訳ではないという点です。法律上、財産は1/2ずつ分配するよう定められていますが、妻が専業主婦のため生活能力がなかったり、不倫や浮気が原因で別れることになったりした場合には、夫婦間で話し合い、生活援助や慰謝料のような意味合いで、相手に多く支払うケースもあります。

では、離婚時にアパートの所有権を手放したくないときは、どのように分配すればいいのでしょうか。ここからは、離婚するけれどもアパートを財産分与したくないときの方法について解説していきます。

方法1.家賃の一部を配偶者に支払う

アパートの場合は、賃料を財産分与の対象とすることができます。アパートを売却してしまうよりも、定期的に得られる賃料を配偶者に支払い続けることが、相手の利益につながる可能性もあります。

ただし、どのくらい支払い続けるのかは、夫婦間でしっかりと話し合い、具体的な金額を定める必要があります。アパート経営では、空室が出たり賃料が下がったりすることで、想定よりも賃料回収ができない可能性も否定できません。そのため、賃料を支払うときには、アパートからどのくらいの収益が見込めるのか査定してもらい、財産分与する金額を明確に決めていきましょう

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方法2.ローン残高があるときは財産分与しない

財産分与の対象となるのは、プラスの財産です。多額のローン残高が残っている場合、アパートを財産分与の対象とはしないという選択肢もあります。離婚とローンの返済問題は別個に考えなければいけません。例え、夫婦が共同でローンを支払っていたとしても、返済義務があるのは名義人自身です。

さらに「アパートの価値<ローン残高」であった場合、資産価値がゼロであり清算対象財産ではないため、財産分与の対象にならない可能性もあります。

何とか経営を持ち直したいときの対策

不動産会社
最後に、経営が悪化しているけれど、何とか経営を持ち直したいときの対策について解説いたします。

これまで何とか経営を続けてきたものの、経営状況が良いとは言えず、再生か撤退かを考えている場合は、まずは本当に経営悪化しているのかを確認してみましょう。収益が下がったとはいえ「立地が良く」「入居率が低下していない」のであれば、経営再生も不可能ではありません。

不動産投資は、入居者がいればこそ成功するものいかに入居率を高めるかが、経営再生のカギです。しかしながら、オーナー個人で経営再生を試みるのは、簡単なことではないでしょう。そこで、何とか経営を持ち直したいときに取るべき対策について紹介します。

方法1.入居条件を緩和する

入居条件の緩和は、空室対策として有効な手段のひとつ。これまで入居をお断りしてきたケースにも幅広く対応することで、入居率アップを図る施策です。

入居条件の緩和には「入居者の緩和」と「金銭面の緩和」の2通りの方法があります。

入居者の緩和

入居者緩和の具体例としては、外国人や高齢者、ペットとの同居を「可」にすること。外国人や高齢者を受け入れる集合住宅は、ニーズがあるものの供給が少ない状況です。

確かに、外国人や高齢者との賃貸借契約を締結することは、他の入居者とのトラブルが勃発することや、家賃の未納問題、孤独死などのリスクもあります。また、ペット可の物件は、多額の原状回復工事費用がかかるなども懸念されます。

しかし、これらの問題は「家賃保証会社を入れて債権回収をしっかりと行う」または「入居時に原状回復のルールを取り決める」ことで、リスク回避も可能です。リスクが高い契約を締結する代わりに、相場よりも家賃を割高に設定できるというメリットもあるため、入居率が悪いときは、こうした入居者の緩和も検討してみてください

金銭面の緩和

金銭面緩和の具体例としては、敷金・礼金をなくしたり、フリーレント制度を取り入れたりすることです。初期投資費用を緩和することで、入居しやすい状況を作り出します

敷金・礼金をなくす、いわゆるゼロゼロ物件は、今では当たり前のように取り入れられている緩和施策のひとつ。なかには「ゼロゼロ物件しか入居対象にしない」という入居者もいるほど、人気の高い空室対策です。

また、新規契約月から一定期間の家賃を無料にするフリーレント制度も、入居者を募る施策になります。こちらもゼロゼロ物件同様に、新規契約時の入居者負担を減らすことで入居率アップを図る施策です。無料とする期間は様々で、短くて1カ月分、長くて半年ほど無料にするアパートもあります。

方法2.他の不動産会社に入居付けを依頼する

入居率を高めるためには、不動産会社の入居案内が不可欠です。個人で物件を宣伝するのには限界があります。そのため、いかに不動産会社にアパートを宣伝してもらい、入居希望者を案内してもらえるかが、経営再生の要となります。

入居付募集には「一般募集」と「専任募集」とがあります。一般募集は複数の不動産会社に入居付けを依頼してもらえるのに対し、専任募集は入居付けする不動産会社を1社に限定することです。

もしこれまで、専任契約で募集をかけていたのであれば、一般募集に切替えて幅広く募集してみましょう。確かに一般募集よりも専任契約の方が、契約している不動産会社の優先順位が格段に上がります。しかし、入居率が改善されないのに、1社と契約を結び続けることは得策ではありません。一度、入居付けしてもらう会社を変更し、募集窓口を変更してみるのも、有効的な手段のひとつです。

方法3.企業に借りてもらう

企業に借りてもらうとは、いわゆる法人契約を結ぶことです。企業用の社宅として借上げてもらえれば、契約件数が多くなったり家賃滞納リスクが少なくなったりと、個人契約よりもメリットが増えます

法人契約を結ぶためには、賃貸借契約内容を法人用の基準につくりかえることが必要です。社宅条件に合う賃料に変更したり駐車場を増設しなりなど、条件変更に柔軟に対応していきましょう。法人契約を獲得するためには、入居付けしてもらう不動産会社の協力が必須です。現在契約している不動産会社に、法人営業してもらえるようお願いしてみましょう

方法4.不動産投資会社に収益アップをお願いする

最後の方法としては、不動産投資のプロである不動産投資会社や管理会社に収益改善の依頼をすることです。素人が一から知識を身につけるより、手間も時間も省けるこの方法が一番おすすめとも言えます。

ここまで紹介してきた以下の対策も、依頼する不動産投資会社によっては、すべてお任せすることも可能です。

・リスクの少ない入居条件緩和対策
・効率のいい入居付けや宣伝方法
・法人契約での借上げ

不動産投資会社や管理会社は、すでに営業ルートを確保していますので、オーナー自らが営業するよりも効率よく入居者を見つけてくれるでしょう。ただし、不動産会社によっては、管理業しか請け負わず、入居者確保や宣伝業務を行っていない業者もいますので、契約前に「どんな業務を請け負ってくれるのか」「収益アップのために入居付けを行ってくれるのか」は、しっかりとチェックしてください。

売りたくないアパートを売りに出すのも投資戦略のひとつ

ここまで、売却せずに済む方法についてご説明してきました。満室状態が続いていたり、経営が黒字化できていたりするときに、断腸の思いでアパートを売却するのも、投資戦略のひとつです。

不動産投資には「キャピタルゲイン」という売却益を狙う方法があります。アパートの資産価値が高いときに売却し、より高額な売却金を得て、次の投資資金に回す戦略です。キャピタルゲインを成功させるためには、アパートの入居率をアップさせ資産価値を上げていくことが必要です。また、利回りを高めたり修繕を実施したりなど、投資家のニーズを満たすような物件に育て上げれば、買い手もつきやすくなります。

不動産投資で収益を得る方法はひとつではありません。どんな時にでも臨機応変に対応できるよう、様々な運営手段を検討しておくことも大切です。

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まとめ

これまで順調に不動産投資を続けてきても、ライフスタイルの変化により、アパート売却を迫られることも少なくありません。

アパート売却を避けるためには、現状を把握することから始めましょう「なぜ売却という選択肢を突きつけられているのか」の原因を追究すれば、代替案を探り当てることができるでしょう。

最終更新日:
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