遺産分割が成立しない!解決するための対処法や遺産分割協議のルールを解説

遺産分割 対処

相続が発生すると、相続人の間で遺産分割をしなければいけません。

遺産分割は協議によって決めますが、協議がまとまらない場合は調停や審判など裁判所での手続きが必要です。

遺産分割をスムーズに終えるためには、法的なルールの理解と、トラブルごとに異なる「適切な対処方法」が重要となります。

相続人との交渉や法的手続きに不安がある場合、弁護士に相談しながら遺産分割を進めましょう。

また、相続にあたって不動産や共有持分を売却するのであれば、弁護士と連携した買取業者に相談すれば、総合的なサポートを受けられます。

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遺産分割で揉める理由と対処法

遺産分割

遺産分割を巡る問題は、いわゆる富裕層だけではなく、一般的な家庭でも起こり得ます。

むしろ「うちには遺産というほどの立派な財産はないから、遺産分割のことなど心配いらない」と考えている家庭ほど、適切な対策をしないためトラブルになりやすいのです。

遺産分割でもめる理由として代表的なものに、次の3つがあります。

  • 相続財産が不動産で分割しにくい
  • 遺言の内容が偏っている
  • 被相続人の介護を1人で負担していた

それぞれのケースにおける、対処法を見ていきましょう。

【理由1】相続財産が不動産で分割しにくい

相続財産に不動産があると、分割が非常に難しくなります。

現金のように1円単位で分けることができず、かといって不動産のままでは誰がどのように利用するのかで揉めがちです。

賃貸物件なら、共有名義にして賃貸収入を分配するという方法もあります。

しかし、共有名義の不動産は管理・処分で意見が対立しやすく、共有者同士で裁判沙汰になるケースも少なくありません。

【対処法】不動産を売却して分割する

不動産を遺産分割する方法として、次のような例があげられます。

  • 相続人の共有名義にする
  • 代表者が代償金を支払って単独名義として相続する
  • 売却して現金で分割する

共有名義は共有者間のトラブルリスクがあり、代償金を支払う方法は相続人の誰かに資金の負担があります。

そのため、売却して現金で分割する方法がスムーズです。

売却して現金で分割する場合、一旦は相続登記を済ませる必要があります。死亡した人の名義では、不動産を売却できないからです。

遺産分割協議書を作成して換価分割をする旨を明記し、代表者の単独名義、もしくは相続人の共有名義で相続登記をおこないます。

弁護士と連携しているクランピーリアルエステートなら、遺産分割協議から不動産の売却までサポートが可能です。

【理由2】遺言の内容が偏っている

遺言の内容が偏っている事例は、遺産分割トラブルの典型的なパターンといえます。

被相続人が特定の相続人をひいきして、偏った内容の遺産分割を指定するケースは少なくありません。

相続人の間で話し合い、適正価格での遺産分割をおこなえればよいのですか、意見が対立して解決が難しい場合もあります。

【対処法】遺留分侵害額請求をおこなう

法定相続人(配偶者や子供など、法律で定められた相続人)には、遺留分というものがあります。

遺留分は、遺産相続において最低限保障される取り分です。遺留分を侵害されている場合、調停や訴訟など裁判手続きによって取り返すことが可能です。

遺留分侵害額請求をおこなう場合は弁護士に相談し、適切な交渉や手続きをおこなってもらいましょう。

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【理由3】被相続人の介護を1人で負担していた

被相続人に対して特別な負担があった相続人は、相続時に「寄与分」を主張できます。

第904条の2
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは(中略)相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。出典:e-Govポータル「民法第904条2項」

寄与分として認められる特別な負担の例は、次のとおりです。

  • 家事や家業の従事(無償、もしくは報酬が低額な場合)
  • 被相続人の療養看護(介護に専念している状態)
  • 金銭の出資(老人ホームの入居費など)
  • 扶養(生活費の負担)
  • 財産管理(不動産の管理業務など)

特別寄与料を請求する

寄与分を主張し、特別寄与料を請求する場合、調停を申し立てることが可能です。

家庭裁判所に申し立て、他の相続人と和解に向けて話し合います。和解が成立しない場合は、裁判官が寄与分の有無や特別寄与料を決める審判手続きに移行します。

寄与分の算出方法については、法的な基準がありません。個別の事情にあわせて算出する必要があるため、弁護士などに相談しましょう。

参照:裁判所「特別の寄与に関する処分調停」

遺産分割協議のルール

遺産分割協議

遺言書がなかった場合、もしくは相続人全員が遺言書の内容に不満がある場合、遺産分割協議によって分割方法を決定します。

実際に1つの場所に集まって協議するのが一般的ですが、電話やメールなどでやり取りしながら協議することも可能です。ただし、必ず相続人全員が合意しなければいけません。

また、一度成立した遺産分割協議は、一部の相続人の判断では取り消せないことも注意しましょう。

【ルール1】相続人全員が参加する

遺産分割協議は、相続人が全員参加しなければいけません。

そのためには、相続人が誰なのか確定してから遺産分割協議をする必要があります。

相続人を確定させるには、被相続人のすべての戸籍をたどり、自分たちが知らない血族がいないかどうか確かめる必要があります。

相続人のうちの誰かが欠けた状態で遺産分割協議をしても、その協議は無効となってしまいます。

ですから、遺産分割の前は必ず相続人調査をしなければならないのです。

協議に参加できない相続人は代理人を立てる

原則は相続人全員でおこなう遺産分割協議ですが、代理人を立てることも可能です。

入院していて協議に参加できない場合や、法律の専門家に交渉を依頼したい場合は代理人を立てましょう。

代理人を立てるときは、遺産分割協議における代理権を証明する委任状の作成が必要です。代理人は、弁護士や親族に委任できます。

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未成年の相続人は特別代理人が必要

相続人が未成年の場合、必ず「特別代理人」を立てる必要があります。

通常、未成年の代理人は親が務めるものです。しかし、相続の場合は親子双方が相続人であるケースがほとんどであり、利益が相反する(利害が対立する)関係です。

そのため、相続では家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てなければいけません。特別相続人が未成年の相続人に代わって、各種手続きをおこないます。

ただし、親が相続放棄をする場合は利益相反関係にならないので、未成年である子供の代理人になることができます。

参照:裁判所「特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)」

認知症などの相続人は成年後見制度を利用する

認知症や知的障害など、意思判断能力が不十分である相続人には「成年後見人」が選任され、相続手続きを代行します。

成年後見人制度は、後見を受ける本人が判断能力の低下前に自分で契約する「任意後見人」と、本人の家族などが申し立てて家庭裁判所が選任する「法定後見人」の2つがあります。

どちらの制度も、後見開始には各地域を管轄する家庭裁判所への申し立てが必要です。

参照:裁判所「成年後見制度について」

行方不明の相続人がいる場合は不在者財産管理人を選任する

相続人の中に行方不明者がいても、その人を除外した遺産分割協議は成立しません。

家庭裁判所へ「不在者財産管理人の選任申し立て」をおこなうか、その人がすでに死んだものとみなす「失踪宣告」のどちらかを申し立てる必要があります。

不在者財産管理人の選任は、あくまで「本人に代わって財産を管理する人の選任」が目的です。

一方の失踪宣告は、対象となる人を法律上死亡したとみなす制度です。本人が行方不明になって7年経つか、震災などで生死がわからなくなって1年以上経った場合に申し立てられます。

参照:裁判所「不在者財産管理人選任」

参照:裁判所「失踪宣告」

【ルール2】分割対象の遺産をすべて把握する

遺産分割協議をおこなうためには、分割の対象となる遺産の範囲と、その評価額を確定しなければいけません。

土地や建物、有価証券など、遺産の種類によって評価額の計算方法は異なります。基本的に、遺産分割をおこなう時点での時価が反映されます。

つまり、相続から遺産分割の確定までに時価が変動すれば、取得できる資産の価値も変わる可能性があるということです。

相続人の間で評価額の認識に違いがある場合、不動産については不動産鑑定士、有価証券は弁護士や税理士に調査してもらいましょう。

プラスの財産だけでなく負債も相続しなければならない

遺産分割は、プラスの財産だけでなく、借金やローンなどの負債も相続しなければいけません。「負債だけ相続放棄をしたい」と考えても、認められないので注意しましょう。

負債は、法定相続分に応じて各相続人が引き継ぎます。

原則として、負債は遺産分割の対象にならないため「誰が」「どの負債を」「どれくらい」引き継ぐかを取り決められません。

しかし、それでは実務上の不都合が多いため、実際は「債務引受」によって引き継ぎ方を決めることがほとんどです。

債務引受・・・他者の債務を引き受ける契約。

債務引受が認められるためには、債権者の承諾が必要です。そのため、負債の引き継ぎ方を細かく決める場合は、債権者との話し合いをしなければいけません。

【ルール3】遺産分割協議書を作成する

遺産分割に関して相続人全員が合意したら、内容を「遺産分割協議書」という書面にします。

遺産分割協議書の作成に法的義務はありませんが、基本的に必須といえるでしょう。

不動産の相続登記や、被相続人の預貯金の解約・名義変更、相続税の税額軽減措置を受けるときなどに、必要書類として提出が求められます。

また、遺産分割協議書があれば、後から誰かが協議内容に異議を唱えても、主張を無効とする証拠になります

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遺産分割協議書の作成は内容と表記に注意

遺産分割協議書で重要なのは「誰が何を相続するのか」を詳細に記載することです。

また、正しい表記で書くことも大切です。例えば、住所表記などで「1-1-1」と書いても一般的な書類では通用しますが、遺産分割協議書では住民票のように「1丁目1番1号」と表記します。

相続人が作成しても問題ありませんが、細かい表記の間違いや記載漏れがあると無効になってしまいます。

遺産分割協議書の作成を専門家に依頼したいときは、司法書士に相談しましょう。

遺産分割協議が滞るなら調停や審判に移行する

調停

協議で合意が取れない場合は、裁判所の力を借りて遺産分割を決定しましょう。裁判所の手続きで遺産分割を決める場合は「調停」と「審判」の2段階に分かれます。

調停は、調停委員が話し合いを取り持つ制度です。調停委員は客観的な意見で当事者の和解をうながしますが、裁判のように強制力のある決定や命令はできません。

審判は、調停が不成立となったときにおこなう制度です。裁判官が和解をうながしつつ、どうしても対立が続く場合、強制的に遺産分割の方法を決定します。

調停や審判になると、裁判所の手続きや相手方との交渉は難易度があがります。弁護士と相談しつつ、適切な対応を取るようにしましょう。

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遺産分割協議で妨害や虚偽をおこなった相続人は罪に問える?

遺産分割協議で多くの利益を得るために、妨害や虚偽をおこなう相続人もいます。

多少の嫌がらせや、連絡を無視する程度では罪に問えません。調停の申し立てなど、法的手続きにのっとって遺産分割を進めましょう。

しかし、遺産分割協議書などの各種契約書を偽造した場合や、偽造した書類を使って名義変更や売却といった財産の処分をおこなった場合、刑事罰に問えます。

例えば、遺産分割協議書を偽造した場合は「私文書偽造罪」にあたり、3ヶ月以上5年以下の懲役に処されます。

第159条
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。出典:e-Govポータル「刑法第159条」

相手方から妨害や虚偽があった場合、まずは弁護士に伝え、然るべき対応を取りましょう。

まとめ

遺産分割は、一度こじれると対処が難しくなります。

自己流で解決しようとするよりも、早めに弁護士に相談したほうが、スムーズかつ短期間で遺産分割を終えられます。

遺産分割で揉めてしまった場合は、理由に合わせた適切な対処が重要です。法的手続きにのっとって、適切に解決していきましょう。

遺産分割についてよくある質問

遺言書の内容に不満があるのですが、対処方法はありますか?

原則としては遺言書どおりに遺産を分割します。ただし、相続人全員が同意している場合、もしくは内容や書式に不備のある遺言書の場合、遺産分割協議によって異なる分割方法を決定できます。

遺産分割協議をするにあたって、注意点はありますか?

協議は必ず、相続人全員が参加しなければいけません。未成年者や認知症の相続人には、代理人や成年後見人をつける必要があります。また、相続財産がどれだけあるのかもしっかり調査しておきましょう。

遺産分割協議書は自分で作成できますか?

はい、自分で作成できます。書式や用紙に決まりはないので、手書きでもパソコン作成でも大丈夫です。ただし、必ず記載すべき内容など重要なポイントがいくつかあるので、不安であれば弁護士や司法書士に作成してもらいましょう。

遺産分割協議がどうしてもまとまらない場合、どうすればよいですか?

家庭裁判所に申し立て、調停に移行しましょう。調停委員が中立的な立場から、和解に向けた話し合いを取り持ちます。調停が成立しない場合は審判に移行し、裁判官が強制力をもって分割方法を決定します。

遺産の不動産や共有持分を処分したいのですが、どこに相談すればよいですか?

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