不動産売却時の必要書類を解説!紛失した場合の対処法も説明

必要書類

不動産売却ではさまざまな必要書類があります。「家や土地などを売却しよう」と思い立ったら少しずつ書類を用意することが大切です。

早めに書類を集めておくことで、スムーズな売却ができるかもしれません。また、書類を紛失してしまった場合も余裕を持って再発行や手続きなどを進めることが可能でしょう。

この記事では、不動産売却における必要書類と入手方法を詳しく解説していきます。また、書類を紛失してしまった場合の対処法についても説明します。

不動産売却における必要書類と入手方法

必要書類
書類の準備ができておらず契約までに時間がかかってしまうと、買主が別の物件を購入するというケースも考えられます。

このように売却のチャンスを逃さないためにも、早めに行動して契約を結ぶ前や物件を引き渡す前にはすべての書類を揃えておきましょう。

①売買契約書

不動産売却では売主と買主の間で取り決めた条件などを書面にまとめた「売買契約書」を作成します。

民法では口約束でも契約が成立すると認められています。しかし、お互いの誤解によって「言った・言わない」のトラブルに発展してしまうことも少なくありません。

そのため、認識のすれ違いが起きないようにすべての取引内容や契約条件を売買契約書に書き残しておくことが大切です。

入手方法

一般的に売買契約書の作成は不動産会社がおこないます。ただし、相手が不動産業界のプロだからといって任せっきりにしてはいけません。

なぜなら、不動産会社が契約内容を誤解したまま契約書を作成してしまうことも考えられるからです。

間違った条件のまま売買契約を結ぶと取り返しのつかないことになってしまうケースもあるため、売買契約書には必ず目を通しましょう。

少しでも疑問を抱いた項目があれば不動産会社に質問することが大切です。

②重要事項説明書

売買契約を結ぶ前に「重要事項説明書」をもとに買主に物件に関する重要事項を説明しなければいけません。

重要事項説明書には主に「物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」が記載されています。

買主が物件購入の検討する上で契約内容に不備はないか、そのほか気になる項目がないかなどお互いに確認をおこないます。

重要事項説明を終えたらその事実確認として買主に記名や押印をしてもらいましょう。

入手方法

重要事項説明書は不動産会社に在籍している「宅地建物取引士」によって作成され買主に渡されます。

ただし、売主に対して重要事項の説明義務がないため、書面が渡されない可能性があります。

もし重要事項説明書の内容を確認したいのであれば、不動産会社にコピーをもらえないか頼んでみるとよいでしょう。

③登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書はある不動産における権利関係の情報を確認できる書類です。例えば「この不動産は自分のものだ」と所有権を持っていることを証明できます。

もし売却予定の不動産に関する権利(所有権など)を主張できない場合は「売却できる権利がない」とみなされてしまい、売買契約を結ぶことが困難です。

そのため、売買契約を結ぶ前には必ず登記事項証明書を買主に提示しなければいけません。

入手方法

登記事項証明書は最寄りの法務局の窓口に請求書を提出するか、インターネットを使ってオンライン請求することで入手できます。

窓口での受付時間は平日8時30分から17時15分までであり、手数料600円がかかります。

一方で、オンライン請求は平日8時30分から21時まで対応しており、手数料は500円です。

平日は仕事で窓口に足を運べないという人はオンライン請求が便利かもしれません。また、証明書を自宅へ送付できることもメリットの一つです。

登記事項証明書の発行手続きをおこなう際は、物件の地番や家屋番号などを控えておくとスムーズに手続きができるでしょう。

④登記済権利証(登記識別情報)

登記済権利証(登記識別情報)は売買や譲渡によって名義変更するときや、住宅ローンの担保として抵当権を設定するときなど本人確認が必要なケースに使われます。

登記済権利証の移転登記がおこなわれることで、売主から買主に所有権が正式に移るため重要な書類です。

ちなみに、平成18年から平成20年にかけて新しく「登記識別情報」が発行されるようになりました。これは紙の書面ではなく12桁の英数字を組み合わせたものです。

入手方法

登記済権利証(登記識別情報)は所有権の取得手続き(所有権移転登記)が完了した際に、法務局から発行されます。

そのため、今住んでいる物件を購入したときに法務局から受け取っているはずです。

この書類がなければ不動産の売却ができないため、まずはどこに保管してあるのか確認しましょう。

⑤固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書

固定資産税納税通知書や固定資産税証明書は、所有権移転登記で発生する「登録免許税」の金額を算出する際に必要です。

登録免許税・・・土地や建物の固定資産税評価額に税率をかけることで税額が算出されます。

登録免許税の納税者は登記をおこなう人なので買主が支払うことになります。

物件の評価額によっては数十万円程度のまとまったお金が必要になるケースがあります。買主のためにも物件の評価額がわかる書類を用意しておきましょう。

入手方法

一般的に固定資産税納税通知書は毎年4~6月くらいに送られてきます。新しい通知書がこれから送られてくるという場合は、紛失しないようにしっかりと保管しましょう。

固定資産税評価証明書は都道府県に所在する税事務所(東京は「都税事務所」)で発行できます。その際に発行手数料が400円かかります。

本人が申請をおこなう場合は申請書本人確認書類を提出します。

代理人を立てる場合は申請書代理人自身の本人確認書類委任状が必要です。

また、「都税証明郵送受付センター」に郵送請求することで証明書を送付してもらうことができます。忙しくて税事務所の窓口に行けない、代理人を立てることができないなどの場合は郵送請求するとよいでしょう。

⑥土地測量図

土地測量図は土地を売買する際に必要な書類であり、土地の面積や境界線などが記載されています。

土地の売却価格は「坪単価×面積」で算出されるため正確な土地の面積を調べる必要があります。

また、長年住んでいることで隣接地との境界があいまいになっていることもあります。もしもどちらか一方が土地を越境している場合、トラブルに発展するケースもあるため必ず用意しましょう。

入手方法

土地測量図の入手方法は「窓口での申請」「郵送での申請」「インターネットでの申請」の3つがあります。

窓口で申請する場合は請求書に必要事項を記入して、手数料450円分の収入印紙を貼って最寄りの法務局に提出すれば完了です。

ただし、窓口の受付時間は平日の8時30分から17時15分までです。

郵送で申請するのであれば、手数料450円分の収入印紙を貼り付けた請求書を用意します。返信用の封筒を同封して土地を管轄する法務局へ送ると、数日後に地積測量図が送付されます。

インターネットでの申請は「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスすることで請求できます。

インターネット申請なら平日の21時まで請求可能であり、手数料も365円と他の請求方法よりも安いです。また、測量図の受取は窓口または郵送のどちらかを選択できます。

⑦建築確認済証・検査済証

戸建てを売却する際は「建築確認済証」や「検査済証」の提出が必要です。これらの書類は物件が建築基準法で定められた基準で建築されたことを証明するものです。

建築確認済証には「建築確認番号」「取得年月日」が、検査済証には「検査済証番号」「取得年月日」が記載されています。

この番号と取得年月日は不動産売買の重要事項説明のときに必要であり、違反建築物ではないことの証明になります。

入手方法

建築確認済証と検査済証はどちらも物件を購入した時に売主から受け取るものです。心当たりのある人は保管場所を確認してみましょう。

一方で、これらの書類を受け取った覚えがないという人もいるかもしれません。

国土交通省の調査によると平成11年以前における建築物の半数以上が検査済証を交付されていないことがわかっています。

そのため、そもそも購入した物件に関する建築確認済証や検査済証が前の所有者にも渡されていなかったケースも考えられます。

このような場合や紛失してしまった場合は代わりとなる書類を発行する必要があります。発行方法は紛失時の対処法で解説しているので参考にしてみてください。

参照:国土交通省「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」

⑨建築設計図書・工事記録書

建築設計図書や工事記録書によってその物件がどのように設計されているのか、どのような工事がおこなわれたのかを確認できます。

設計や工事に関する情報は、買主が購入後にリフォーム・リノベーションする際に役立ちます。なぜなら、リフォーム会社はこれらの情報を参考にしてリフォームやリノベーションの計画を立てるからです。

近年では築古物件をリフォーム・リノベーションする前提で物件を探している買主も少なくないため、準備しておくと喜ばれるかもしれません。

入手方法

建築設計図書と工事記録書は物件を購入したときに不動産会社やハウスメーカーから受け取ります。自宅で保管してあるか確認しましょう。

もし受け取った覚えがない場合は不動産会社やハウスメーカーが保管していないか問い合わせてみましょう。

建築設計図書に関しては建築士法によって15年間は保管する義務が定められています。そのため、物件購入から15年以内であれば保管している可能性が高いです。

⑩耐震診断報告書

近年では大きな地震が日本各地で発生しているため、住宅の耐震性能を重視している買主も多いです。

また、1981年に新耐震基準が導入される前に建築された住宅は現在の耐震基準を満たしていない可能性が高いため、築年数が経過している物件の耐震性能に不安を抱く人もいます。

そのため「耐震診断報告書」を提出して耐震性能について買主に開示することが大切です。

入手方法

耐震診断報告書を作成する場合は、建築士やホームインスペクター(住宅診断士)などに依頼しましょう。

耐震診断の費用は建物の構造や床面積によって金額が異なり、数万~数十万円かかるケースがあります。

⑪身分証明できる書類

身分証明できる書類とは、マイナンバーカードなどの本人確認書類・実印・印鑑証明書・住民票などのことです。

本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードなどを使用する場合は、期限切れ・失効に注意しましょう。もし期限切れや失効している場合は早めに再発行することが大切です。

実印は住んでいる物件を購入した際に使用しているはずなので、紛失していないか確認してみてください。

住民票と印鑑証明書は発行から3カ月が有効期限です。これらの書類は物件を引き渡すときに必要になるため、引き渡し時には新しいものを用意しましょう。

入手方法

マイナンバーカードの交付は郵送インターネットで申請できます。郵送の場合は交付申請書に署名・押印し、顔写真を貼り付けて郵送しましょう。

インターネットであれば、パソコンまたはスマホでおこないます。webサイトにアクセスして申請手続きをおこないます。必要事項を記入してカメラで顔写真を撮影して、添付すれば完了です。

住民票と印鑑証明書は市区町村の役所の窓口で取得できます。また、マイナンバーカードを利用すれば、コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機から取得することも可能です。

それぞれ一通につき300円の手数料がかかります。

必要書類の紛失時における対処法

紛失
不動産投資家やオーナーなどでなければ不動産売買を経験するのは人生で一度二度あるかないかの人が多いでしょう。

そのため、登記事項証明書や登記済権利証などの必要書類を滅多に使う機会がないため、どこに保管したか忘れてしまうことも考えられます。

万が一、紛失してしまった場合は再発行や代替措置などの対処が必要です。

そこで次の項目からは必要書類を紛失してしまったときの対処法を解説していきます。

登記事項証明書を紛失した場合

登記事項証明書は所定の手続きをおこなえば何度でも発行可能です。そのため、紛失してしまった場合でも、解説した入手方法と同じ申請手続きをすることで再発行できます。

ただし、発行するたびに手数料がかかるため費用の準備を忘れないようにしましょう。

また、再発行の申請をおこなう際も物件の地番や家屋番号などを受付の人に提出するとよいでしょう。

登記済権利証を紛失した場合

もし権利証を紛失してしまった場合は再発行できません。

ただし、「本人確認情報を作成する」か「事前通知制度を利用する」ことで権利証が無くても不動産売却が可能となります。

それではそれぞれの方法を次の項目から解説していきます。

本人確認情報を作成する

本人確認情報を作成してもらうには司法書士や弁護士に依頼する必要があります。作成してもらう際に運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書を提示しなければいけません。

本人確認情報・・・申請人が登記名義人であることを証明できる情報(書面)のことです。

本人確認情報の作成を依頼した場合は、司法書士や弁護士に報酬として数万円を支払わなければなりません。

費用はかかりますが、権利証を紛失した場合は一般的に本人確認情報を作成するケースが多いといわれています。

一方で、事前通知制度を利用するケースは比較的少ないです。その理由も踏まえ、制度の利用方法を解説します。

事前通知制度を利用する

権利証を紛失してしまい提出できない場合は、その旨を記載してそのまま登記申請をおこないます。

その後、法務局から本人限定受取郵便で通知が届きます。この通知書に実印を押して返送することで本人確認が完了したとみなされ登記手続きを終えることができます。

ただし、法務局から通知が発送されて2週間以内に返送しなかった場合には登記申請が却下されてしまうリスクがあります。

期限までに返送が間に合わなかった場合は買主の名義に変更できなくなってしまうため、不動産売却で事前通知制度を利用するケースはほとんどないといわれています。

固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書を紛失した場合

固定資産税納税通知書を紛失してしまうと再発行できません。

しかし、固定資産税評価証明書であれば何度でも発行できる書類のため、すでに説明した申請手続きをもう一度おこないましょう。再発行も同じ手数料がかかります。

地積測量図を紛失した場合

地積測量図も何度でも発行できます。もし紛失してしまった場合は入手方法と同じ手続きをおこなって再発行しましょう。

また、再発行も同額の手数料が必要です。

建築確認済証・検査済証を紛失した場合

建築確認済証と検査済証は再発行できませんが、代わりとなる書類があります。それが「台帳記載事項証明書」です。

台帳記載事項証明書には不動産売却に必要な「建築確認番号(検査済証番号)」と「取得年月日」が記載されています。

発行手続きをおこなう際は、所定の申請書(台帳記載事項証明願)に建築当時の地名・地番など詳細な物件情報を記載して市区町村の役所に提出しましょう。一通につき400円の発行手数料がかかります。

台帳記載事項証明書はオンライン請求や郵送請求を取り扱っていないため、窓口へ必ず出向かなければいけません。受付時間は土日を含む9時から11時45分および13時から16時45分までの間です。

ただし、メールによる仮申請が可能であり、証明書の受取時間を短縮できる場合があります。仮申請する際は建築当時の地名地番などの情報をメールに記載しましょう。

参照:東京都都市整備局「建築物を安全に建てるために 台帳記載事項証明書の発行」

建築設計図書・工事記録書を紛失した場合

建築設計図書と工事記録書はどちらも再発行できません。紛失している場合は建築会社や不動産会社がコピーを保管している可能性があるので問い合わせてみてください。

どちらも保管していなかった場合は、建築士やリフォーム会社に依頼して建物の図面を作成してもらう必要があります。

図面作成費用は会社や内容によって異なりますが、1~2万円が相場といわれています。

また、作成に1~2週間かかる場合が多いといわれているため、売買契約の時期が近づいている場合は早めに依頼しましょう。

耐震診断報告書を紛失した場合

耐震診断報告書が手元にない場合は耐震診断をおこなっている業者やホームインスペクター(住宅診断士)などに依頼して新たに報告書を作成してもらいましょう。

耐震診断の費用は建物の構造や床面積によって金額が異なり、数万~数十万円かかるケースがあります。

費用の相場感を養うためにも複数の業者に見積もりしてもらうとよいかもしれません。

その中から費用や診断内容などのサービスを考慮しながら、信頼できそうな業者に依頼することが大切です。

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